見本
鏡を買い替えたのは、先月のことだった。新しい鏡は、驚くほど鮮明に、部屋の隅々まで映し出した。
最初に気づいたのは、歯を磨いているときだった。鏡の中の自分が、こちらより、ほんの一瞬だけ、遅れて動いた気がした。
気のせいだと、思おうとした。でも、次の日も、その次の日も、鏡の中の私は、少しずつ、ずれていった。
ある夜、手を止めて、じっと見つめてみた。鏡の中の私も、手を止めて、こちらを見ていた。口が、小さく、動いた。
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それ以来、鏡を見るときは、必ず、後ろも確認するようにしている。