最近、違和感を感じるんです
第三章:防犯カメラ
不安を解消するため、玄関に、小型の防犯カメラを設置することにした。会社の帰り、電気屋に寄って、スマホと連動できるタイプのものを選んだ。工事も要らない、置くだけの簡単なモデルで、設置作業自体は、十分もかからなかった。
設置してから、毎晩、寝る前に、その日の映像を確認するのが、習慣になった。最初の数日は、玄関の映像に映るのは、朝出かける自分の後ろ姿と、夜帰ってくる自分の姿だけだった。それを見て、少しずつ、「やっぱり、気のせいだったのかもしれない」という気持ちが、強くなっていった。
一週間分の映像を、通しで見返してみた。結果は、変わらなかった。出入りしているのは、自分だけ。誰かが、こっそり侵入した形跡も、不審な人物がうろついている様子も、一切、映っていなかった。
それなのに、その週も、牛乳の減りは、いつもより、明らかに早かった。メモに入れた残量と、実際の残量を照らし合わせるたびに、数字が合わない。
カメラを設置すれば、安心できると思っていた。でも、実際には、安心よりも、新しい種類の不安が、大きくなっていった。「誰も入っていないのに、減っている」という状況は、「誰かが入っている」というよりも、ある意味、もっと不気味だった。