最近、違和感を感じるんです
第十章:室内カメラ
警察署からの帰り道、その足で、家電量販店に寄った。防犯コーナーで、店員に相談しながら、部屋全体を見渡せる、小型の室内カメラを、一台、購入した。
その日のうちに、ベッドの脇にある棚の上に、部屋全体が映るように、角度を調整しながら、設置した。スマホのアプリと連動していて、録画されたデータは、後から、いつでも確認できる仕組みになっている。
一日目の夜。電気を消して、布団に入る前に、カメラのアプリを開いて、正常に作動していることを確認した。緑色のランプが、静かに点灯しているのを見て、少しだけ、安心した。
翌朝、目覚めてすぐ、前の晩の映像を、早送りで確認した。何も映っていなかった。ただ、暗視モードの、青白い光に照らされた、いつも通りの部屋の様子が、静かに続いているだけだった。
二日目の夜も、同じように、カメラの作動を確認してから、眠りについた。この日は、幸い、天井からの物音も、聞こえなかった。翌朝の映像確認も、特に、変わったところはなかった。少しずつ、「今回は、何も映らないかもしれない」という、淡い期待が、芽生え始めていた気がする。
三日目。この日は、仕事が特に忙しく、疲れ果てて、いつもより早く、布団に入った。映像の確認は、寝る前ではなく、翌朝、通勤電車の中でやろう。
朝、いつも通り、倍速で映像をチェックした。何も、異常は見当たらなかった。ただ、その日は、なぜか、確認を終えたあとも、しばらく、スマホの画面を、じっと見つめてしまった。理由のはっきりしない、落ち着かなさが、胸の奥に、残っていた。
設置してからの数日は、特に、これといった映像は、記録されなかった。夜、電気を消してからの数時間、暗視モードに切り替わった画面には、ただ、静かな部屋の様子が、映し出されているだけだった。少し、拍子抜けするような気持ちと、これで何もなければいい、という、祈るような気持ちが、入り混じっていた。
四日目。いつも通り、通勤電車の中で、スマホを取り出して、アプリを開いた。夜中の映像を、いつものように、倍速で確認していく。
深夜二時過ぎ、画面の中、クローゼットの扉が、内側からゆっくりと開いていくのが映っていた。